例題1-2) どのような条件下で、金利はマイナスになり得るか

銀行が金利をマイナスにしようものなら、預金をすべて引き出したくなります。お札や硬貨を金庫に入れておけば、その額面が減ることはないのですから。だとすれば、金利はマイナスにはなり得ないように思われます。細かく考えてみると、金庫を置いておくための場所だとか、盗難防止策だとかに、いくらか費用がかかりますから、その費用に相当する程度の、若干のマイナスの金利であれば、許容される場合もあるかもしれません。

そもそも貨幣が存在していない場合にはどうでしょうか。皆が財布を持たずに、すべての買い物にはクレジットカードや携帯電話の電子マネーを使う。振り込まれる給料はもちろん、すべてのお金は常に銀行口座の中にあって、どこにも逃げられないような状況です。これなら、マイナスの金利もあり得るような気もします。

そのようにして実現したマイナスの金利には、どのような意味があるでしょうか。時間の価格としての金利が、マイナスになるとは?

デフレーションのとき、つまりインフレ率がマイナスのとき、その意味を考えることができる場合がありそうです。預金の減っていく速度よりも、物価の下がる速度の方が速ければ、時間の経過とともに預金の購買力は増えています。つまりそのとき、実質金利はプラスです。時間の価格はマイナスでも、時間の価値はマイナスになっていません。

では、時間の価値までもがマイナスになる可能性は?

「機会費用」という言葉があります。前向きに何かをつくろうとすれば、「機会」は常に貴重なものですが、これを測る中立な尺度のひとつは時間でしょう。そのとき「費用」を表現するものが、実質金利です。人類の全体が総じて機会を無駄にすること、ほしいものを何も生み出さず、機会費用がマイナスになること。寝ている方がずっとマシ。そんな状況を具体的に想像することなど、到底できません。
posted by equilibrium at 2002-01-02 | [草稿]例題
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