例題5-2) リスク・プレミアムの大きさが変化する要因として、どのようなものがあり得るか

リスク・プレミアムはリスクの価格ですが、その水準は需要と供給で決まり、そして時間とともに変化します。リスクを負担してもよいと思うひとが増えれば、その対価としてのリスク・プレミアムは小さくなり、リスク資産の価格は上がります。リスクは負担したくないと思うひとが増えれば、その対価としてのリスク・プレミアムは大きくなり、リスク資産の価格は下がります。

どんなものでも、その評価は時に感情に左右されます。リスクをもっと負担してもよい、また負担したくない、というリスクに関する評価も、時に感情に左右される場合があるでしょう。他の要素が何も変わらなくても、単に皆が弱気になるだけで、リスク資産の価格は下落します。もちろん、ほしい物やサービスがしっかりとつくり出されているにもかかわらず、あまりにも皆が弱気になりすぎれば、どこかの段階で安くなったリスク資産の価格が魅力的に見えてくるはずです。その意味で、大きく見ればリスク・プレミアムの大きさは、自律的にバランスする構造になっています。

いわゆるバブルとは、皆が楽観的になりすぎた状況といえそうです。我々は、自分達のほしい物やサービスをしっかりとつくり出し続けている。だから、リスクはいくらでも負担しよう。そんな状況では、リスク・プレミアムは非常に小さくなっていくでしょう。リスク資産の価格がこうした状況下で継続的に上昇すれば、あまりリスクそのものについては考えずに、水族館で回遊するマグロのように、ただ他人の後ろについていく投資家が現れることがあります。このことによって価格の上昇はさらに過熱しますが、このとき先頭の誰かがハタと自分のとっているリスクとその評価を見つめ直したとき、バブルは崩壊へと向かうことになります。

いわゆる金融危機とは、皆が悲観的になりすぎた状況といえそうです。我々は、もはや何もつくり出すことはできない。むしろ状況を確実に悪化させている。人類は後退していくのみで、だからすべてのリスクに、プレミアムなどあるはずがないと。とはいえ自分の周囲を冷静に見渡せばわかるように、優秀なひとや役に立つひと、素敵なひとは、どこにでもいます。人類の全体がほしいものを見失う、なにもつくり出せなくなるなどというのは、あまり現実的でないと皆が気づいたとき、リスク資産の価格はとても安く見えるはずです。やはり回遊の先頭の誰かがハタと、皆が避けているリスクとその評価について見つめ直したとき、リスク資産の価格は上昇を始めるでしょう。

感情が「過剰に」価格に反映されるとき、投資家は生産とリスクについて、冷静に見つめることが大切です。
posted by equilibrium at 2002-05-02 | [草稿]例題
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