例題7-1) 「市場」の範囲はどこまでか

すべてのポートフォリオの合計としての「市場」を考えるには、あらゆるリスク資産とポートフォリオについて知る必要があります。とはいえ、これは実際には困難です。明示的でわかりやすく、比較的大きな投資先は、株式市場や債券市場ですから、まずは実際に取引されている株式や債券を合計してみることが、市場ポートフォリオを考える出発点となります。

しかしながら、「すべてのポートフォリオ」のひとつとしての自分のポートフォリオに立ち返って考えてみても、投資とリスクはより広範囲に及んでいます。例えば自分自身への教育も、それを投資と考えることは可能でしょう。必ずしも貸借対照表の中に明示的に存在してなくても、リスクとプレミアムはあちこちに隠れています。

あらゆるリスクにかかるプレミアムは、リスクの全体との関係で評価されますが、その「リスクの全体」の概念を近似的に表現するのが、市場ポートフォリオであると考えることで、よりすっきりと枠組みを捉えることができます。はっきりと目に見えていなかったとしても、人類が生産する活動に必然的に伴うリスクで、取引可能なものはすべて「市場ポートフォリオ」を構成するはずと考えるのです。

例えば地震のリスクは、いずれの貸借対照表中にも明示的には存在していませんが、人類が生産する活動と密接に関係しています。実際のところ大きな地震が起きれば、それに伴って生産は停滞し、株価が下落する局面は存在し得るわけです。こうした「避けることのできない」リスクは、リスクの全体を構成するひとつの要素となるはずです。

すべての「避けることのできない」リスクの全体が市場ポートフォリオであり、その単位リスクあたりのプレミアムは、あらゆるリスクの中で最大となります。
posted by equilibrium at 2002-07-01 | [草稿]例題
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